前丸床柱は、杉の株の張った丸太を側面と株の部分を面取りして、
株の木目を見せる床柱です。
たんに「前丸」や、面のとり方をタイコに挽くところから「タイコ」などと言いいます。
正面のタケノコ状に木目の見える部分は、カンナで仕上げてると、
ツヤのある木目が綺麗です。
この柱を好むのは、中国地方と兵庫県と京都の一部だとおもいます。
特に岡山県、島根県、鳥取県で好まれます。
ドラマや映画で、この地域の和室のシーンが映るときに、
あめ色になった前丸床柱を目にすることがあります。
木目も良いツヤが出ていて、月日が経つとああゆう風になるんだなと
感心することがあります。
正直、生産は限られています。
その理由は、生産条件が限られてくるからです。
まず、株に根の張っていること。
根の張りを正面として、木が丸太材として左右に反らずに、直材であること。
床柱として使用されるので、手入れの行き届いた丸太材であること。
太さが頃合の樹齢であること。
簡単そうですが、この条件がなかなか揃わないのです。
良い株の根に張りがあっても、手入れの悪い丸太では、ダメです。
反対に、手入れの良い丸太でも、根に張りが無いともちろんダメです。
手入れが良く、根に張りがあっても、自然が育てるの木なので、
床柱に使えない左右の反りがあることもあり、
やっぱり前丸床柱としては、ダメです。
もちろん、若すぎて細かったり、育ちすぎて太くてもダメです。
条件の揃った山林だと、数本づつ隣あわせで育っていることもあります。
でも、ほとんどの場合、広い範囲を探してもみつけられないことが多いです。
最近は、手入れの良い山林が減り、良材を見つけることが難しくなってきているのが現状です。